AEON PayとWAONの統合布石? イオンFSがアプリの機能拡充
この記事は、令和7年(2025年)6月25日水曜日に執筆したものです。
日経グループの日経クロステックが、明日6月26日木曜日付けでイオンFS(イオンフィナンシャルサービス)が「AEON payが使えるアプリの機能拡充をし、電子マネーWAONの管理を可能にする。」という趣旨の報道を行っています。
報道によれば、AEON Payと電子マネーWAONで残高移行も可能になるようです。
電子マネーWAONはイオングループの電子マネーで、AEON Payは同じくイオングループのコード決済。両者ともに、現金やイオンカード等のクレカからチャージして使うプリペイド(前払い)方式を採用しています。AEON Payはイオンカードを紐付けて、チャージすることなく直接支払うことも出来ますが、この記事では横に置いておきます。
両者の残高は現行では別個のものになっており、相互に移行したりすることは出来ません。今回の機能拡充で出来るようになれば、利便性の向上となります。
“過渡期“という表現
先述した報道の無料部分には、次の記載があります。
今回、AEON Payと統合するものの、WAONのアプリやカードの提供は続ける。イオンFSの橋本壮一郎執行役員決済商品本部本部長は「WAONをなくすわけではないが、WAONからAEON Payへの過渡期だと捉えている」と語る。
「電子マネーWAONを無くすわけではない」と前置きしつつも、「電子マネーWAONからAEON Payへの過渡期」だと認識しているといいます。
ちなみに完全な蛇足ですが、“過渡期“という言葉について、小学館の「デジタル大辞泉」では次のように解説されています。
古いものから新しいものへと移り変わっていく途中の時期。
このことから、イオンFSにとっては電子マネーWAONからAEON Payへの移行を進め、将来的にはAEON Payへの一本化(悪く言うと電子マネーWAONの廃止)をするつもりなのでは無いかと予想します。
電子マネーWAONの利用者の中には、「コード決済はよく分からない」という人も多いと思います。そうした人々にとっては、一本化されるとついていけないということになってしまいます。イオンにとっても、これまで電子マネーWAONで培ってきた顧客情報などを新たに獲得出来ないこととなり、小さくない損失を生じさせることになります。顧客にとってもイオンにとってもLoss―Lossの結果にしかならないことから、すぐに一本化するということは無いとは思います。電子マネーWAONの利用者全員がAEON Payに移ってもらえるようになる環境が整うのに、10年から20年は掛かるのではないでしょうか。一本化は、それを待ってからだと思います。
電子マネーWAONのオンラインサーバ化
電子マネーWAONはカード内に情報を書き込んで管理する方式となっています。ポイントサービスの電子マネーWAONポイントでは、この方式を採用していることでセンター保管のポイントとダウンロードという概念が生じています。
電子マネーWAONの情報を、カード内での管理から専用のセンターに設けられたサーバ上で管理する方式に移行することは、電子マネーWAONの将来を考えるうえで1つの選択肢なのでは無いでしょうか。こうすることで、電子マネーWAONの残高をサーバ上で動かせるようになります。現行の方式ではカード情報の照会やカードへの書き込みを要していたものを、直接操作できるようになるわけです。
これが実現すると、AEON Payと電子マネーWAONとでの残高をシームレスにリアルタイムで移行することも可能になります。さらにいえば完全に残高を統合し「今日はAEON Payで」「今日はスマホの充電が切れたから電子マネーWAONで」といった様に、同じ残高を複数の媒体から共通で使用できるようになるわけです。
先述した一本化は電子マネーWAONが使えなくなりますが、このやり方だと電子マネーWAONは継続して使えて、さらに便利になるわけです。個人的には、一本化よりはこちらのほうが実現可能性という観点での、現実味は高いと予想します。ただ、新たな投資が必要な一方で、利便性改善などを含めた効果は限られており、経営的なメリットが低いというのはあります。
アプリのイメージ画像で気になる点
日経クロステックの記事の無料部分の中に、機能拡充後のアプリのイメージ画像が掲載されています。

日経クロステックが撮影した、アプリの機能拡充後のイメージ画像。
この画像を見ると、画面中央・2次元コードの下に移すと書かれたボタンがあり、その右には電子マネーWAONの残高と思われる数字が表示されています。その数字の下には支払うと書かれたボタンがあります。電子マネーWAONの残高と思われる数字の上にはタッチという題とともに、スマホを手に持つアイコンがあります。
このアイコンは、電子マネーWAONをスマホに搭載して使用できるモバイルWAONで、支払う際の動作を意味しているものと思います。スマホのおサイフケータイやコンタクトレス決済で支払うとき、こういう動作になる方は多いでしょう。
このアイコンの存在からも、今回の機能拡充は電子マネーWAONの中でも、スマホで使うモバイルWAONの事だと分かります。厳密にはモバイルWAONとiPhoneやApple WatchのApple Payで使用できる電子マネーWAONは別物ですが、ここでは区分することなくモバイルWAONで括ります。
また、画面の下部にはAndroidで少し前まで主流だった3ボタンナビゲーションがあることや、画面上部の通知領域などの表示がiOSではなくAndroidであること等から、このイメージ画像で用いられている端末はAndroid端末だと思います。
だとすると、気になる点が。Androidだとすると、支払うボタンはなんのために…?
Android端末ではモバイルWAONで支払うときには、専用アプリの起動や認証などは一切必要なく、ただ店員に告げ(るか電子マネーWAONを選択し)てかざすだけで支払いが完了します。この支払うボタンを押して、一体なにをしようというんでしょうか。これがiPhoneとなると、専用のアプリを起動して認証してからかざす必要があるので、専用アプリを起動するためのボタンとして役割を全うすることになるでしょう。しかし、Androidだと役割という役割もなく、よく分からないボタンになってしまうように思います。
iPhoneとデザイン等を揃えるために取り敢えずつけたパターンや、保守運用の観点から同じものにしたということであってほしいなと思います。Androidでも専用アプリの起動や認証が必要になる事は、出来れば無いと有り難いな…と思います。
現行のiAEONアプリでも電子マネーWAONの機能はある
ちなみに、現行のiAEONアプリにもモバイルWAONに関する機能があります。


左がアプリのTopメニュー、右がモバイルWAONに関する機能。
スクショ、筆者撮影。
といっても、イオンカードからのチャージとポイントチャージに限られています。AEON Payとの残高移行はもちろんのこと、利用履歴の確認なども行えません。
本当に機能拡充が行われるのか
この記事を執筆している25日の14時43分時点で、アプリのアップデートは配信されておらず、公式サイトなどで機能拡充が告知されていることもありません。日経の飛ばし記事だったというオチは無いことを願って、機能拡充を楽しみに待ちたいと思います。
機能拡充が行われるとすると、AEON PayからモバイルWAONへの残高移行はモバイルWAON同士の機種変更とは異なる取り扱いが行われるのか、チャージを一度もしていないモバイルWAONへも移行出来るのかなども気になりますね。