尼崎市議選、参政党候補がトップ当選果たす。
令和7年(2025年)6月15日日曜日に投開票が行われた尼崎市議選は、参政党の高野由里子さんがトップ当選を果たしました。NHK党の福井完樹さんや日本保守党の尾ノ上直子さん、れいわ新選組のやはたオカンさんなども当選し新興勢力が党勢を増す結果となった一方で、投票率は前回の40.37%を下回る40.17%となり、過去最低を記録することになりました。
一番の注目はなんといっても参政党がトップ当選でしょうか。参政党の候補は1人たけでしたので、参政党の支持者が1人に全力を注げた側面ももちろんあるでしょうが、とはいえ新興勢力がトップ当選というのは個人的に驚きです。参政党は尼崎市議で初めての議席獲得となりました。
参政党のほかに、れいわ新選組や日本保守党、国民民主党も初めて議席を獲得しています。
また、NHK党は立花孝志さんが「尼崎市議選で候補が落選したら自身は政治家引退」とするなど注目を集めました。NHK党は福井完樹の1人を擁立し結果は当選しましたが、注目すべき点もあります。選挙期間中にNHK党の党員が有料の広告費用を支払ったことが明らかになっています。立花孝志さんは既に兵庫県警の尼崎南署に申告したとしており、当選が無効となる可能性も残されています。
こちらはNHK党の問題点と合わせて捜査の進捗に注目でしょうか。ちなみに、立花孝志さんは今年夏の参院選に自ら立候補し、そちらでも落選した場合は政治家を辞めるとしています。
共産党は今回6人を樹立し、3人が当選しました。当選したうちの1人である小村潤さんは得票数について2位となる6,130票を獲得しました。これについて、組織票の割り振りなどを工夫すれば5人の当選が実現出来たのでは無いかと指摘する声もあります。
維新は今回7人を擁立し、7人全員が当選しました。維新の本拠地たる大阪に隣接している事もあり、かつて平成25年(2013年)に5人擁立4人当選で初めての議席獲得を果たし、前回となる令和3年(2021年)には11人擁立し11人全員が当選しました。今回も擁立した全員の当選は果たしたものの、人数は前回から減っていることから、来年となる令和8年(2026年)に予定される尼崎市長選も見据え党勢の陰りを懸念する見方もあります。
讀賣新聞が報じたところによれば、維新の今回の得票数は合わせて2万1,671票の結果で、前回と比較して1万4,000票以上の減少となったとされています。
維新は、兵庫県知事の斎藤元彦さんによる同県職員へのパワハラ疑惑に関連して、パワハラ疑惑をデマとして維新の兵庫県議らがNHK党の立花立花孝志さんに虚偽の情報を渡した等として批判を受けていました。尼崎市議選への影響も懸念材料の1つだったと思います。讀賣新聞の同じ報道の中では、維新で当選した1人は「前回は街頭で『頑張って』と声掛けを頂けたが、今回は全然無かった」と述べて参院選への影響を懸念していると書かれています。今年(令和7年)の夏には参院選も予定されており、今後立ち直っていけるかは1つの注目点となるでしょう。
自民は6人を擁立し6人全員が当選しました。しかしながら、得票数は6,000票以上減っており、ある自民の兵庫県議は「これまでなら自民に入ってもおかしくなかった票が、参政や保守党に流れたのだろう。実績のみならず、SNSやイメージで投票先を選んだ人も多いのではないか。」と分析しているそうです。
公明は12人を擁立し、12人全員が当選したことで、第1党は守りました。しかし、前回はトップ10の中で3人が公明の議員となる結果でしたが、今回は得票数を減らしトップ10入りとはなりませんでした。ある公明の兵庫県議は「既存政党への不満が結果に表れた可能性」を指摘したうえで、「従来からの支持者頼みだけでなく、ネット戦略や関心の薄い層からの支持獲得が必要」としています。
国民民主党は2人を擁立し、うち1人が当選しました。兵庫県連の幹部は「2人とも当選すれば参院選に向けて勢いづくところだった」としています。国民民主党は参院選の公認内定を巡って世論の反発を受けており、昨年(令和6年(2024年))に行われた衆院選の勢いが衰えているとの見方もあります。
既存政党への不満を解消できるか
今回の尼崎市議選の得票数から、既存政党への不満を持った人が新興勢力に流れたことが読み取れます。参政党の得票数は、擁立したのが1人だけにも関わらず全体の4.6%を占めています。これは立憲民主党の3.8%や国民民主党の4.2%を上回るものです。NHK党を含めた諸派も、合わせて前回比で7ポイント以上増の8.3%となっています。
一方で既存政党の多くは前回を下回る結果になっています。特に維新は減少幅が最大で約10ポイント減の14.5%になったほか、自民の10.3%と公明の25%はいずれも4ポイント以上減となっています。
先述しているように今年夏には参院選も予定されており、参院選で議席獲得や議席増加を目指すなら、既存政党に向けられた不満について受け止めるべきものは向き合って改善することが求められているでしょう。但し、支持獲得を目指すあまり何でも受け入れては党是に反したり矛盾する事になることもあり得るでしょう。改善すべきものは改善し、しかし批判や圧力には屈しない。そうした姿勢や意思決定が必要だと思います。